07December

生活

「走れる身体をどこからつくる?~栄養科学で福岡ライフをもっと楽しく!~」サイエンスカフェ開催レポート

Mariko Tokita Mariko Tokita

10月18日(水)、オープンしたばかりの福岡市科学館を会場に開催したサイエンスカフェ。今回は福岡マラソンとのコラボ企画として、「走れる身体をどこからつくる?~栄養科学で福岡ライフをもっと楽しく!~」というテーマで開催されました。

マラソンをするための身体づくりというと、とにかく“走る”方向に考えてしまいがちですが、栄養科学の観点から食を見直すことで、元気で丈夫な身体づくりをすることができます。中村学園大学 栄養科学部フード・マネジメント学科 教授の松隈先生のお話をレポートします。

わたしたちの身体の仕組み

私たちの身体は60兆個の細胞からつくられています。その細胞を維持するため、元気で丈夫な身体をつくるために大切なのは、野菜、魚、肉、果物をバランス良くしっかりと食べること。

なぜバランス良く食べることが必要なのか、三大栄養素と呼ばれる『炭水化物、たんぱく質、脂質』だけをしっかり食べればいいのではないか、というとそうではありません。三大栄養素を身体の中にしっかりと吸収するため、摂取した栄養をしっかり代謝するためには、また別の栄養素が必要なのです。

たんぱく質を代謝するためには、豚肉や大豆に含まれるビタミンBを必要とします。身体中に酸素を運びいらないものを体外へと運び出す血液をつくるのには、肉、魚、野菜、大豆を食べることが大切です。そして、血液は骨髄からつくられるため、乳製品、小魚などに含まれるカルシウムを摂取して、丈夫な骨をつくることが必要です。日光を浴びることでビタミンDが生成され、運動することでカルシウムの吸収が促進されます。

運動するだけ、栄養をとるだけでなく、どちらも適度に行うことが、身体を整え丈夫にするために必要不可欠なんですね。

では、栄養素はどのように消化され吸収されていくのでしょうか。

口の中に食べ物が入り、食道を通り胃に運ばれていき、胃酸によりドロドロの状態へ消化されます。さらに消化管である十二指腸、小腸、大腸に運ばれていき、吸収されなかったものは食べ物のカスとして体外へ排出されます。この一連の流れがとても大切です。

腸の環境を整えよう、とよく言われていますが、それは、腸には全免疫システムの約70%が集中しているから。腸を整えることは栄養の吸収をアップし、生活習慣病の予防にもつながります。

 

正しい知識をつけ、実践する

アスリートの方の疲弊した身体を修復する目的で行われている食事法に、「グリコーゲンローディング法」というものがあります。例えば、一週間前から練習量を落とし、試合の4~6日前は食事の50%、3~当日までは70%と糖質を増やしていくという方法です。

持久力の向上というメリットがありますが、体重が重く動きづらくなるため体重制限がある競技には向かないほか、急激なグリコーゲンの増加によって内臓に負担がかかることもあります。基本的には管理栄養士の指導の元に行っていく食事療法なので、一般の方がむやみに真似をするのはやめた方が良いそうです。

では、福岡マラソンに参加する方々や、アスリートではないわたしたちが丈夫な身体づくりを行うにはどうしたらいいのでしょうか。

「みなさんは日常の食生活をしっかりとすることで身体づくりをして、疲れた時には身体を休め、睡眠をしっかりとるということをすれば、マラソンに備える身体づくりができるんじゃないかなと思います。まずは知識としてどういう風に食べたらいいのかを覚えて、日常の生活の中で自分に足りない栄養素は何かを考え、補って調整をしていくのが大切です。」と、松隈先生。

人それぞれ生活習慣や体質は違うもの。正しい知識を身につけることで、自分の体質やその時々の体調に合った栄養素の調整も可能になります。

また、走る際のアドバイスについては「走って大量に汗をかき、水分だけを補給していると、低ナトリウム症といって吐き気や意識混濁という症状に陥ります。脚気のような症状を引き起こすことも。水分補給の際はスポーツ飲料がオススメです。また、給水所は複数あるため1カ所で少量ずつ摂るという計画な給水を!」

 

きっかけをつくるサイエンスカフェ

自分の口にするものが体をつくる、そんな当たり前だけれど忘れがちなことを改めて見つめ直すきっかけとなった今回のサイエンスカフェ。

福岡マラソンとのコラボ企画、ということで、当日参加された方々の中にも福岡マラソンランナーが多数参加。アスリートのためのお弁当や、福岡マラソンにて給水ならぬ“給食”として提供される数々の食べものも実際に食べながら、講義の際は真剣に、飲食の際は和やかに、とてもメリハリのある会となりました。

11月12日(日)に開催された福岡マラソンでは、フルマラソン12000人、ファンラン2000人の、合わせて14000人ものランナーが参加されたそうです。
「毎年走る!」という方も、「来年こそは!」という方も、次回の福岡マラソンに向けて普段からバランスの良い食事を心がけ、持久力のある丈夫な身体をつくっていってくださいね。

 

Mariko Tokita

Mariko Tokita
ライター

2014年に東京から福岡へIターン。デザイン事務所広報・Webメディア運営を経て、現在は文具・雑貨メーカーの広報とライター業を行う。旅行と食べ歩きと映画が好き。