22December

生活

感覚にはたくさんの不思議がある「多感覚研究会 錯覚の大展覧会」

Yusuke Matsumoto Yusuke Matsumoto

感覚で行動している?

カフェの店内でコーヒーを飲む時に紙カップで提供されることも多くありません。携帯を見ながら集中しすぎていると、コーヒーをのむ時に、何気にコーヒーカップの持ち手を取るような行為をしてしまう時あります。自宅でコーヒーを飲む時、持ち手のあるカップで飲んでいて、その感覚が残っているのかもしれません。

例えば、真っ暗の部屋で、眼鏡を探す時に「確かテーブルに置いてた」という記憶と「眼鏡の形」を想像しながら、テーブルの上に手を伸ばし、手の平や指先の感覚で探すことになります。眼鏡にたどり着くまでに、ペンケースやティッシュケースなど、他のものを触ることもありますし、実はテーブルの上には眼鏡はなかったということもありますよね。

錯覚の大展覧会

このように、人の行為や記憶、感覚は曖昧で、まだまだ分かっていないことがたくさんあります。このような感覚の不思議について、いろんなアプローチで研究が進んでいます。今回は、12月17日、熊本大学で開催された「多感覚研究会 錯覚の大展覧会」について、レポートします。この多感覚研究会は、国内の研究者が集まり、一般市民も体験できる展示と、研究者の研究発表を行っています。
 

立体視と触覚をつかった錯覚

3Dテレビは立体視専用のメガネをかけるのですが、このコーナーでは裸眼で立体視ができました。このディスプレイの上に映ったサンタクロースがプレゼントを運ぶというキャラクターを使った錯視に触覚を加えた研究です。

プレゼントから手を放すと、サンタクロースがプレゼントを運んでいくというシナリオで、2次元と3次元を行き来する感覚を味わうことが出来ました。コンピューターで制御された動きであるもの、実際に触ってコミュニケーションをとることで、サンタクロースに少しずつ愛着が生まれます。そういう意味でもこの研究は、体験の錯覚だけでなく、気持ちにも錯覚が生まれた心地となりました。
 

 

 

味覚の錯覚

人の味覚も不思議がいっぱいです。わたしが体験したのはチョコレートは鼻をつまんで食べると味がしないという体験をしました。感想は「あれ?味がしない。」という。解説を伺うと、普段味わっているチョコレートには、チョコレートフレーバーがかかっていて、嗅覚で味わっていたんですね。これも驚きでした。目で確かめて、嗅いで味わう、食感で楽しむチョコレートに感動しました。味覚の錯覚は、視覚、嗅覚などの感覚器も調べていく多感覚の研究で、チョコレートの味以上に奥が深い研究でした。
 


ディスプレイを触れる錯覚

普段使っているスマートフォンやタブレットのディスプレイはサラサラしているのに、この研究では、ディスプレイに映る縞模様を指でなぞると、縞模様に合わせてザラザラするという錯覚でした。5つのパターンの縞模様にあわせて、5つのザラザラが味わうことができます。このディスプレイでの触覚研究が進むと、もしかすると、タブレットのディスプレイを触りながらナビゲートしてくれると初めての土地でも迷わないなど、未来への可能性を感じました。



今回は一部の紹介でしたが、一通り体験しますと、曖昧の中で生きているのかなと、感覚への理解がもっと必要な気がしました。この研究がなにに生きるのかという応用面を考えることも大切ですが、まず人を理解することも大切だと感じました。一日の行動を振り返ってみて、感覚の面白さを探してみて下さい。

Yusuke Matsumoto

Yusuke Matsumoto
ライター

2011年より、サイエンスコミュニケーションプロジェクトRikafanを立ち上げ、科学コミュニティの活性化に努める。現在は九州大学に所属しサイエンスコミュニケーションの研究を、また、福岡市科学館開館準備室ではVI、広報を担当。プライベートワークとして、だれでも参加できるものづくり博覧祭つくると!のコミュニティ代表として、パーソナル・ファブリケーションに夢中な仲間とものづくりの未来を考える。